日本屈指の酒どころ会津。
会津は稲作が盛んで、食味値が「特A」ランクの飯米が収穫される土地。また一級河川が東西南北を縦横無尽に流れており、豊かな水からはおいしいお米が採れます。
この酒造りに適した気候風土と良質な米と豊かな水源に恵まれ、会津では古くから酒造りが行われてきました。
近年は清酒の技術が大きく飛躍し会津の酒蔵は全国や東北の鑑評会で上位入賞の常連になるなど、日本屈指の酒どころです。今回の記事では、そんな会津若松の日本酒を紹介します。
目次
1.会津若松の日本酒の特徴について
会津若松の日本酒の特徴は、要約すると下記になります。
- 水質:会津若松の日本酒は、地域の清らかな水を使用しています。この水は、日本酒の品質に大きく影響し、独特の味わいを生み出します。
- 米の品質:この地域では、高品質の酒米が栽培されています。特に「五百万石」や「山田錦」などの酒米が有名です。
- 伝統的な醸造技術:会津若松は、古くからの醸造技術を守り続けています。手作業による丁寧な醸造プロセスが、その品質の高さに貢献しています。
- 地域特有の風味:会津若松の日本酒は、地域特有の風土が生み出す独特の味わいを持っています。この風味は、他の地域の日本酒とは一線を画しています。
- 多様な種類:純米酒、吟醸酒、大吟醸酒など、多様な種類の日本酒が生産されています。それぞれに独自の特徴があり、多くの日本酒愛好家に愛されています。
福島県は全国新酒鑑評会において、金賞受賞蔵数が「6年連続日本一」の快挙を成し遂げた、酒どころです。
中でも会津若松市には7年連続金賞受賞の鶴乃江酒造や、入手困難な宮泉銘醸など12の蔵元があります。
会津若松酒造協同組合では、毎月25日を会津清酒の日と定め、12蔵元の日本酒が楽しめる会津清酒屋台村など、年間を通じて定期的に日本酒イベントを開催しており、会津若松の日本酒の普及に努めています。
会津若松の日本酒の特徴は、「甘口で、香り高く、キレのある芳醇旨口タイプ」。これはその土地の気候風土や郷土料理との相性からうまれています。
海から遠い内陸に位置する会津では、新鮮な魚が入手できず海産物は干物にして輸送していました。
保存の効く干物に様々な工夫を加え、ニシンの山椒漬けや棒たらの煮つけなど、味付けの濃いめの郷土料理がうまれ、これらの料理に負けない芳醇タイプの日本酒が好まれるようになりました。
2.甘口好きにおすすめの会津若松の日本酒
「会津中将 特別純米 ひやおろし」
創業200年を超える鶴乃江酒造は、大きな商家が軒を連ねる七日町通りに蔵を構えています。
七日町通りには大正時代の銀行の建物など、いまも残るモダンな建物が並び、多くの観光客が訪れる観光スポットです。
鶴乃江酒造の林家は、会津藩御用達頭取を務めた永宝一族で、寛政6年に分家創業し、屋号を「永宝屋」と称しました。
明治初期に鶴ヶ城の「鶴」と猪苗代湖を表す「江」から「鶴乃江」と酒名を改め、その後蔵名になりました。
「会津中将 特別純米 ひやおろし」は、梨系の優しい香りにマスカットを思わせるジューシーな米の甘み旨みとほどよい酸味があり、旨みと酸味のバランスがよいお酒です。
冷酒から常温、熱燗と表情を変えて楽しめます。
「ひやおろし」とは、冬に仕込んだお酒をひと夏越えるまで酒蔵で貯蔵・熟成させ秋口に火入れせずに生詰めしたお酒をいいます。
「秋上がり」や「夏越し酒」などいくつか呼称があり、搾りたての生酒を熟成させることでまろやかで深みのある味わいになる秋酒です。
脂ののった秋の味覚にもよく合いますし、燗酒にも向いています。
3.辛口好きにおすすめの会津若松の日本酒
「特別純米 辰泉 超辛口 上澄み詰 生」
フルーティで濃醇タイプの日本酒を醸す辰泉酒造の銘柄の中で、異彩をはなつ「超辛口」酒です。「辛口だけど、それだけじゃない。」がコンセプトのこのお酒は、一般的な辛口酒とは違います。
地元会津産の五百万石という酒米を使用し、無濾過生原酒(ろ過をしない生酒)の上澄み部分(搾ったお酒の上部分)を瓶詰めしました。
+12の辛口(+の数字が大きいほど辛口)ながら、柔らかなお米の旨みが膨らんで、ほんのりと甘みさえ感じます。
口当たりよくキレのある辛口酒です。冷酒はもちろん、常温から燗酒もおすすめです。
4.会津若松のおすすめ純米酒
「宮泉銘醸 写楽 純米酒」
今や全国的に人気で入手困難な銘柄になりつつある「写楽」。会津若松の日本酒と言えば、「写楽」が真っ先に思い浮かぶ人も多いでしょう。
宮泉銘醸は鶴ヶ城の北側に蔵を構え、多くの観光客で賑わう人気蔵です。創業は昭和30年と会津では若い蔵で、花春酒造・宮森家から分家しました。
蔵の売店では地元銘柄の宮泉や焼酎等の試飲が行われており、試飲してから好みのお酒を購入できます。(試飲は無料試飲と有料試飲があります)
「写楽 純米酒」は穏やかな果実系の含み香が特徴。味わいは米の旨みと甘みがバランスよく広がり、後口はキレがありすっきり整う純米酒です。
また、通年商品の写楽に加え毎月発売される季節商品の写楽もおすすめです。 酒米の種類や精米歩合を変えて造るので、毎月異なる味わいが楽しめます。
5.会津若松のおすすめ日本酒 微発泡系
末廣酒造「微発泡酒 ぷちぷち」
末廣酒造の「微発泡酒 ぷちぷち」は、シュワっとして爽やかな甘さの微発泡酒です。瓶内発酵で出てきたきめ細かな泡立ちの炭酸ガスを閉じ込めてあり、微発泡感を楽しめます。
アルコール度が低めで飲みやすく、シュワシュワ感がたまらなく、特に女性に喜ばれています。日本酒が苦手な方や乾杯酒に向いているスパークリング日本酒です。
6.会津若松の日本酒を作る街や酒造について
東京駅から約3時間、かつての城下町・会津若松には、鶴ヶ城をはじめ、武家屋敷の面影を残すこの街には、酒蔵が点在しています。
末廣酒造
1850年創業のこの酒蔵は、8代にわたって同じ家族によって運営されています。
酒蔵の一部を見学するツアーが定期的に開催されており、数々の賞を受賞した日本酒のテイスティングができます。お酒が飲めない方のために、併設のカフェではデザートに日本酒が使われています。
鶴乃江酒造
1794年創業の鶴乃江酒造は、かつて藩主に酒を献上していました。
事前予約で日本語の見学もできるが、居心地のいい店内でいつでも試飲ができます。女性醸造家の一人、林由利の酒「由利」は、鮮やかなブルーのボトルが目印です。
花春酒造
本物の日本酒好きなら、バスかタクシーで会津若松市最大級の酒蔵、花春酒造に行くことができます。
300年以上の歴史があり、日本酒だけでなく、焼酎や梅酒も造っています。4万リットルものタンクを持つ巨大な酒造施設では、1週間前までに予約すれば見学が可能です。
最後に
いかがでしたでしょうか。会津若松には鶴ヶ城や温泉など観光スポットがたくさんあります。
豆知識として、
- 季節の酒:会津若松では、季節ごとに特別な日本酒が生産されることがあります。例えば、冬には「しぼりたて」や「にごり酒」が人気です。
- 地酒祭り:会津若松では、地元の日本酒を楽しむイベントや祭りが開催されることがあります。これらのイベントは、地元の酒蔵の魅力を発見する絶好の機会です。
- 酒蔵の見学:多くの酒蔵では、見学ツアーや試飲が可能です。酒造りの過程を学び、様々な種類の日本酒を試すことができます。
ぜひ会津の地酒と郷土料理を味わってみませんか。