日本人の中で、ハンガリーって国名を知らない人はいないでしょう?
でも、どれだけの人が、ハンガリーのことを知っているでしょうか?
そもそも、ハンガリーのことは、日本ではあまりニュースでも聞きません。
ここでは、基本的なハンガリーの文化のことをご紹介します。ハンガリーについて興味を持たれるきっかけになれば幸いです。
目次
1.ハンガリーって、どんな国?
ハンガリーは、中央ヨーロッパにある、内陸国です。首都は、「ドナウの真珠」と言われるブダペストです。東京からの直線距離は、約9000㎞。
日本~ハンガリー間の直行便が出ていないため、近隣の国で乗り継いで、約13時間半のフライトです。面積は、日本の約1/4、人口は980万人で東京都より少ないです。
ハンガリーの首都ブダペストは、ドナウ川によって「ブダ」と「ペスト」の2つの地区に分かれています。この都市は、その美しい建築物と温泉で有名です。
一人当たりのGDPも日本の約2/5です。
ハンガリーでは、人口の大半がハンガリー人(85.6%)です。ハンガリー人は自らを「マジャール人」と呼ぶことがありますが、これは特に民族と言語の両方を意味する言葉です。
残りの人口のうち、3.2%がロマ人、1.9%がドイツ人、2.6%がその他の民族、14.1%が不特定多数です。
2.ハンガリー文化の特徴は?
- 言語: ハンガリー語はウラル語族に属し、フィンランド語やエストニア語と同じ言語グループになります。周囲のスラブ語やジャーマン語に囲まれているため、独特の言語構造を持っています。
- 音楽: ハンガリーの音楽は古典音楽や民族音楽が有名で、特にハンガリー舞曲やチャールダーシュが知られています。有名な作曲家にはリスト・フェレンツやバルトーク・ベーラがいます
- 民族衣装: ハンガリーの民族衣装はカラフルで豪華で、刺繍やビーズがよく使われています。女性はスカートにブラウス、エプロン、ショールを着用し、男性はズボンにシャツ、ベスト、ブーツを着用します。
- 食文化: ハンガリー料理は豚肉や羊肉を中心に、パプリカやタマネギを多用したスパイシーな料理が特徴です。ガラシュ(シチュー)、チキンパプリカシュ、ラングォシュ(揚げパン)などが代表的な料理です。また、デザートではドブシュトルタやチムネーケーキが有名です。
- 祭りと行事: ハンガリーには多くの祭りや行事がありますが、代表的なものに「ブダペスト・ワインフェスティバル」や「ブダペスト国際ドキュメンタリー映画祭」、「サバンタシュ・カーニバル」があります。
- 建築: ハンガリーの建築はロマネスク、ゴシック、ルネサンス、バロック、アール・ヌーヴォーなど様々なスタイルが混在しています。
- 文学: ハンガリー文学は古代から続いており、さまざまな時代や様式が混在しています。有名なハンガリーの詩人にはペトーフィ・シャーンドル、アーディ・エンドレ、バブィッチ・アンナなどがいます。また、近年ではノーベル文学賞受賞者のカーダール・イムレが世界的に著名です。
- 美術: ハンガリー美術の歴史は古く、多様なスタイルが展開されています。19世紀にはナジ・イシュトヴァーン、ムンカーチ・ミハーイなどの画家が活躍しました。20世紀に入ると、モハチ・ラースローやヴァース・アールパードなどのアヴァンギャルドな画家が登場しました。
- 映画: ハンガリー映画は国際的に高く評価されており、多くの優れた作品が生み出されています。著名な映画監督には、ジャンカ・ベーラ、メスザーロシュ・マールタ、トルナイ・イシュトヴァーンなどがいます。また、ハンガリー映画界の代表作として「コンタクト」や「サウンド・オブ・ノイズ」が挙げられます。
- 伝統工芸: ハンガリーには古くから伝わる様々な伝統工芸があります。その中でも、ハンガリー刺繍やハラショー陶器、マタヨールク・ガラス、ヘレンディ・ポーセリンなどが特に有名です。
1)ルービックキューブ発祥の国!
ハンガリーは、歴史的に多くの科学者を輩出し、優れた数学者も多数です。
一世を風靡し、今なおファンが多いルービックキューブを発明したのは、ハンガリー人のルビク・エルネーです。
他に、核兵器やコンピュータの開発に貢献したのも、ハンガリー人科学者です。
2)多様な民族音楽にインスパイアされた音楽
ハンガリーでは、地域ごとの各民族集団(ロマなど)による民俗音楽は、とても有名で、それ等にインスパイアされた音楽家も多数です。
バルトークやリストなどが有名です。
バルトークは、民俗音楽の祖の一人として、その音楽には、民俗音楽からのインスピレーションを強く感じさせます。
3.ハンガリーと日本の文化の違い
1)祝日には、大きなお店やショッピングセンターが閉まります!
24時間365日営業の便利さを享受している日本人からすると、祝日にお店が閉まるハンガリーはとても不便に感じます。
特に、クリスマスやイースターなどの連休前は、要注意です。
2)子どもにやさしいお国柄
最近、日本では、公園での子供たちの声がうるさいとクレームが出たりしますが、ハンガリーでは、とても子どもが大切にされています。
特に、14歳以下の子どもを一人で留守番をさせたり、一人で学校へ行かせるなどには、罰則が設けられています。
4.ハンガリーの食文化
1)世界に誇るトカイワイン
ハンガリーでは、伝統的にアルコール産業が盛んです。
特に、ワインでは、貴腐ワインとして、トカイワインが有名です。
ハンガリー北東部のトカイ地方の独特の気候によって生み出されます。
2)なんといっても、パプリカ!
ハンガリーと言えば、乾燥させて粉にしたパプリカを使った料理と、フォアグラが有名です。
特に、パプリカを用いた煮込み料理グヤーシュは、ハンガリーの定番家庭料理と言えるでしょう。
5.ハンガリーで気をつけたいこと!
1)ものの値段の端数に注意!
ハンガリーの通貨は、フォリントと言いますが、5フォリント以下の硬貨はありません。
そのため、値段が198フォリントの商品の場合、200フォリントを出してもおつりは出ません。
かわりに、191フォリントの場合、190フォリントでOKです。
ちなみに、1フォリントは、約0.35円です。つまり、2フォリントのおつりなら、1円以下になります。
2)ハンガリーのトイレ事情
外国へ行くと、それぞれの国のトイレ事情があって、戸惑うことも多いですが、ハンガリーでは、公衆トイレやファストフード店のトイレがたいてい有料です。
また、トイレットペーパーが完備されていないところが多いので、ご注意ください。
6.ハンガリー社会と階層について
共産主義時代、ハンガリーにはかつて存在した社会的、経済的格差の多くが減少しました。共産主義時代には、ほとんどの人が安定した収入と安定した仕事に就いていましたが、政府に対して不満を抱いていました。
ポスト共産主義時代には、雇用の安定が失われ、経済が大きく変化したため、生活が不安定になりました。さらに、住宅を含む多くのサービスや産業が民営化されました。
このことはハンガリーにも影響を与え、住宅などの経済的な問題は、多くの人にとっての懸念材料であり続けています。
ハンガリー人は非常に個人主義的で、自分と近親者の利益が優先される傾向があります。ハンガリー人は親しい友人や家族を頼りにしています。
多くのハンガリー人にとって、必要な時に最初に手を差し伸べるのは、より広いコミュニティや機関ではなく、親しい友人や家族なのです。
まとめ
ハンガリーは、日本人にとって、遠くて遠い国なのかもしれません。
この記事が、少しでも、ハンガリーへの理解を助けるお役に立てればうれしいです。