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マレーシアの首都は2つ?クアラルンプールとプトラジャヤの役割を解説

「マレーシアの首都はどこ?」と聞かれたら、多くの人が思い浮かべるのはクアラルンプールでしょう。それは正解です。しかし、マレーシアの政治や行政の仕組みを深く知ると、もう一つの重要な都市、プトラジャヤの存在が浮かび上がります。

実は、マレーシアは憲法上の首都であるクアラルンプールと、行政機能が集まるプトラジャヤという、事実上2つの首都を持つユニークな国なのです。

この記事では、なぜマレーシアがこのような形をとっているのか、それぞれの都市がどのような役割を担っているのかを、誰にでも分かりやすく徹底解説します。

1.マレーシアの2つの首都のプロフィール

まずは、それぞれの都市がどのような場所なのか、その特徴を見ていきましょう。

公式な首都「クアラルンプール」:経済・文化・歴史の中心

マレーシアの憲法で定められた公式な首都はクアラルンプールです。活気あふれる経済と、多様な文化が融合するマレーシアの「心臓」と言える都市です。

  • 役割: 経済、商業、金融、文化の中心。国会や国王の王宮もここにあります。
  • 歴史: 1850年代に錫(すず)の採掘拠点として誕生。「泥が合流する場所」という名の通り、自然発生的に発展してきました。
  • 特徴:
    • ランドマーク: 高さ452mを誇るペトロナスツインタワーやKLタワーが有名です。
    • 多文化社会: マレー系、中国系、インド系の文化が混ざり合い、街並みや食事にその多様性が色濃く反映されています。
    • 経済のエンジン: 多くの多国籍企業が拠点を構え、マレーシア経済を力強く牽引しています。

行政首都「プトラジャヤ」:未来へ向けた政府計画都市

クアラルンプールから南へ約25kmの場所に、未来的な景観が広がる都市があります。それが、マレーシアの行政・司法の中心地プトラジャヤです。

  • 役割: 行政と司法の中心。首相府やほとんどの省庁、最高裁判所がここにあります。
  • 歴史: 1995年から開発が始まった計画都市。クアラルンプールの過密化を解消するためにゼロから建設されました。
  • 特徴:
    • ランドマーク: ピンク色のドームが美しいプトラ・モスクや、首相府(ペルダナ・プトラ)が象徴的です。
    • インテリジェント・シティ: 都市の約40%が緑地や公園で、「庭園都市」とも呼ばれます。最先端の技術を取り入れたスマートシティとしても知られています。
    • 整然とした街並み: 巨大な建物や美しい橋が計画的に配置され、静かで落ち着いた雰囲気が漂います。

2.なぜマレーシアは首都機能が分かれているの?

では、なぜわざわざ2つの都市に首都機能を分ける必要があったのでしょうか。その最大の理由は、1990年代に深刻化したクアラルンプールの過密化です。

経済成長とともに人口や交通量が爆発的に増加したクアラルンプールでは、交通渋滞や行政の非効率性が大きな課題となっていました。

そこで、マハティール元首相の強力なリーダーシップのもと、政府機能をまるごと移転させるという壮大な国家プロジェクトが始まったのです。

機能の分担を比較

クアラルンプールとプトラジャヤの役割分担をまとめると、以下のようになります。

項目クアラルンプールプトラジャヤ
公式な地位憲法上の首都行政・司法の首都
主な機能経済、金融、商業、文化行政、司法
あるもの国会議事堂、国王の王宮首相府、ほとんどの省庁、最高裁判所
都市の雰囲気活気があり、賑やか、混沌整然としており、壮大、静か
成り立ち自然発生的に発展ゼロから作られた計画都市

重要なポイントは、国民を代表する立法府(国会)は、今もクアラルンプールにあるということです。これにより、政府が国民の生活や経済の現場から完全に切り離されるのを防いでいます。

3.その他の連邦直轄区と13州の州都

マレーシアを理解する上で、クアラルンプールとプトラジャヤは連邦直轄区という特別な地域であることも知っておくと面白いでしょう。マレーシアにはもう一つ、連邦直轄区があります。

金融特区「ラブアン」

ボルネオ島の沖合に位置する島で、アジア有数の**タックスヘイブン(租税回避地)**として知られる国際的なオフショア金融センターです。

マレーシア13州の州都一覧

マレーシアは3つの連邦直轄区と13の州で構成されています。各州にもそれぞれ中心となる都市(州都)があります。

州都
ジョホール州ジョホールバル
ケダ州アローセター
クランタン州コタバル
マラッカ州マラッカ市
ヌグリ・スンビラン州スレンバン
パハン州クアンタン
ペナン州ジョージタウン
ペラ州イポー
プルリス州カンガル
サバ州コタキナバル
サラワク州クチン
セランゴール州シャーアラム
トレンガヌ州クアラトレンガヌ

まとめ

最後に、この記事のポイントをまとめます。

  • マレーシアの公式な首都はクアラルンプールで、経済と文化の中心です。
  • 政府機能のほとんどは、計画都市である行政首都プトラジャヤに移転しています。
  • 首都機能の分離は、クアラルンプールの過密化を解消し、効率的な行政を実現するために行われました。

このように、マレーシアの首都は、歴史と活気を象徴するクアラルンプールと、未来へのビジョンと秩序を象徴するプトラジャヤという2つの都市が、互いに補完し合いながら国家の発展を支えるユニークな形をとっています。この二つの都市の関係性を知ることで、マレーシアという国の奥深さがより一層見えてくるでしょう。

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