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台湾人の名前まとめ!人気の苗字・名前ランキングから英語名、歴史まで徹底解説!

「台湾人の名前って、どんなものが多いの?」 「男性や女性で人気の名前は何?」 「キラキラネームみたいな名前はある?」

台湾のドラマや有名人、旅行先で出会う人々。その名前に触れるたび、こんな疑問を抱いたことはありませんか?

台湾人の名前は、単なる呼び名ではありません。そこには、中国大陸から受け継がれた文化、独自の歴史、そして現代社会の価値観が複雑に織り込まれています。

この記事では、台湾政府の最新統計データを基に、台湾人の名前に関するあらゆる疑問にお答えします。

  • 最新の男女別人気名前ランキング
  • 台湾で最も多い苗字(姓)トップ20
  • 「菜市場名」と呼ばれる定番の名前の変遷
  • 名前の付け方のルールや占いの影響
  • 多くの人が持つ「イングリッシュネーム」の謎
  • 日本統治時代や原住民族の歴史が与えた影響

この記事を読めば、あなたも台湾人の名前博士に!台湾への理解がさらに深まること間違いなしです。

1.台湾の苗字(姓)トップ20【陳・林で約20%!】

台湾には「陳林滿天下(この世は陳さんと林さんだらけ)」ということわざがあります。これは決して大げさではなく、統計が示す事実です。

台湾内政部が発表した最新の統計によると、上位10の苗字(陳、林、黃、張、李、王、吳、劉、蔡、楊)だけで、なんと総人口の52.79%を占めています。

以下は、台湾で多い苗字のトップ20です。あなたの知り合いの台湾人の方の名前も入っているかもしれませんね。

表1: 台湾の苗字(姓)ランキング TOP20

順位姓氏人口(万人)割合(%)
1261.9011.21
2194.758.33
3140.286.00
4123.985.30
5119.995.13
695.504.09
793.574.00
873.763.15
968.452.93
1061.782.64
1154.092.33
1244.381.88
1341.271.76
1435.391.50
1535.011.49
1634.351.46
1733.881.44
1831.581.34
1931.011.32
2029.471.26

出典: 中華民国内政部発表資料(2023年6月30日時点)

なぜ特定の苗字が多いの?

この苗字の偏りは、台湾が移民社会として発展してきた歴史と深く関係しています。

現在の台湾人の多くは、17世紀以降に中国大陸の福建省広東省から渡ってきた人々の末裔です。そして、「陳」や「林」といった苗字は、まさにそれらの地域の代表的な姓なのです。

また、同じ苗字を持つ一族が集まって村を作る「一姓村」という集落も各地に存在し、同族の強い絆が台湾社会の基盤を築いてきた歴史を物語っています。

2.【男女別】台湾人の名前ランキング|時代で変わる流行

台湾でも、日本と同じように名前にも流行があります。

一昔前に大流行した名前は「菜市場名(ツァイスーチャンミン)」と呼ばれます。これは「市場のようにどこにでもある名前」という意味で、少しからかいを込めて使われることも。

ここでは、世代別の名前の流行と、最新の赤ちゃんの人気名前ランキングを見ていきましょう。

世代を超えた定番の名前「家豪」と「淑芬」

全世代を合計すると、最も多い名前は男性が「家豪(ジアハオ)」、女性が「淑芬(シューフェン)」です。

この二つの名前は、10年以上にわたってトップの座を守り続けており、台湾を代表する名前と言えるでしょう。

時代を映す「菜市場名」の変遷

しかし、生まれた年代別に見ていくと、流行は大きく変化していることが分かります。

  • 1960~70年代:
    • 男性:志明、文雄 - 「志を成す」「立派な男」など、儒教的な価値観や社会での成功を願う名前。
    • 女性:淑芬、美玲 - 「淑やか」「美しい」など、伝統的な女性らしさを表す名前。
  • 1980~90年代:
    • 男性:家豪、志偉 - 経済成長期を背景に、「家の豪傑」など、個人の成功や豊かさを願う名前。
    • 女性:雅婷、怡君 - 「雅やか」「心楽しい」など、より洗練された現代的なイメージの名前。
  • 2000年代以降:
    • 男性:承恩、冠宇 - 「恩を受ける」「宇宙の頂点」など、スケールが大きく、幸福を願う名前。
    • 女性:宜蓁、欣妤 - 植物や楽しさを連想させる、優しく現代的な響きの名前。

【最新】新生児の人気名前ランキング!

そして、現代の親は子供にどんな名前を付けているのでしょうか? 2021年以降に生まれた赤ちゃんの名前ランキングです。

表2: 最新新生児 人気の名前トップ3

男性女性
1位恩碩 (エンシュオ)品妍 (ピンイェン)
2位宥廷 (ヨウティン)苡菲 (イーフェイ)
3位子睿 (ズールイ)雨霏 (ユーフェイ)

出典: 中華民国内政部戸政司発表資料

現代の名前は、穏やかさ、知性、品格、自然の美しさといった価値観を反映する漢字(恩、宥、品、睿、妍、菲など)が好まれる傾向にあります。

これは、社会的な成功だけでなく、個人の内面的な幸福や充実した人生を願う親心の表れと言えるでしょう。

3.台湾人の名前の付け方と面白い文化

台湾の命名には、トレンドだけでなく、古くからの文化的慣習も色濃く残っています。

① 占いは絶対?「姓名判断」の影響

多くの親が、子供の名前を決める際に**姓名判断や命理学(占い)**の専門家に相談します。子供の生年月日と時刻(八字)から五行(木、火、土、金、水)のバランスを調べ、運勢が良くなるように名前の画数を調整します。名前で子供の未来を切り拓きたい、という強い願いが込められています。

② キラキラネームはある?

日本のような、漢字の読みを完全に無視した「キラキラネーム」は少ないですが、現代的な響きや意味を持つユニークな名前は増えています。先ほどのランキングにあった「恩碩」や「苡菲」なども、一昔前には見られなかった新しい組み合わせです。

③ 兄弟で同じ漢字を使う「字輩」

一族の同じ世代の兄弟や従兄弟が、名前の一文字目に共通の漢字を使う「字輩(ズーベイ)」という慣習があります。例えば、ある世代の男子は全員「永〇」という名前になる、といったルールです。これにより、一族の系譜や世代が一目で分かるようになっています。

④ 女性に多い「疊字」の名前

婷婷(ティンティン)」や「玲玲(リンリン)」のように、同じ漢字を重ねる名前を「疊字(ディエズー)」と呼びます。統計では、疊字の名前を持つ人の98%以上が女性で、「可愛らしさ」や「親しみやすさ」を表現する方法として定着しています。

4.なぜ?台湾人が「イングリッシュネーム」を持つ理由

台湾人と交流すると、多くの人が自己紹介で「My name is David.」のように、戸籍上の名前とは別にイングリッシュネームを名乗ることに驚くかもしれません。

これは台湾社会に深く根付いた文化で、主に以下のような実用的な理由があります。

  • 理由1:発音が難しいから 中国語の発音、特に四声(イントネーション)は外国人にとって非常に難しく、覚えてもらいやすい英語名でコミュニケーションを円滑にするため。
  • 理由2:同姓同名が多いから 前述の通り「陳」や「林」といった姓が非常に多いため、職場などで個人を識別しやすくするため。
  • 理由3:国際化のため ビジネスや学術の場で、国際的に通用する名前として便宜を図るため。

イングリッシュネームは、小学校の英語の授業で先生が付けてくれることも多く、法的効力はないものの、名刺やメール、職場での呼び名として公私にわたって広く使われています。

これは、世界と直接つながりたいという台湾の強い国際化志向の表れと言えるでしょう。

5.台湾の歴史の記憶:日本統治と原住民族の名前

台湾の複雑な歴史もまた、人々の名前に深い痕跡を残しています。

日本統治時代と「改姓名」

日本統治時代(1895-1945年)の末期、皇民化運動の一環として、台湾人が日本式の姓名に変更する「改姓名」が推進されました。

例えば、「林」さんは「林田(はやしだ)」、「黄」さんは「贋田(かりた)」のように、元の姓の痕跡を残すケースが多く見られました。

戦後、国民政府によって元の漢姓に戻すことが義務付けられましたが、この「改名」と「復名」の歴史は、台湾が経験したアイデンティティの揺らぎを象徴しています。

原住民族の「伝統名」回復への道

台湾には、漢民族とは異なる文化を持つ十数民族の原住民族がいます。彼らは長年、自らの伝統的な名前を奪われ、漢姓・漢名を名乗ることを強いられてきました。

しかし、1990年代以降の権利回復運動の高まりにより、法律が改正され、戸籍に伝統的な名前を登録できるようになりました。

例えば、台湾のデジタル担当大臣として世界的に有名な**オードリー・タン(唐鳳)**氏の閣僚名簿上の名前は、アミ族の言葉で「Talim.」と登録されています。

また、親子(または母子)の名前を繋げる「親子連名制」など、民族独自の命名文化を復活させる動きも活発です。

これは、失われた文化と誇りを取り戻すための、力強い自己決定の表れなのです。

まとめ:台湾人の名前はアイデンティティの物語

台湾人の名前は、単なる記号ではありません。

  • 苗字は、大陸から渡ってきた祖先のルーツを物語り、
  • 名前の流行は、その時代の社会の価値観を映し出し、
  • イングリッシュネームは、世界へ開かれた現代の姿を象徴し、
  • 多様な名前のあり方は、複雑な歴史の中で育まれた重層的なアイデンティティを示しています。

次に台湾人の名前に触れる機会があれば、ぜひその背景にある豊かな物語を想像してみてください。きっと、台湾という社会への理解がさらに深まるはずです。

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