
「ペルー人の名前って、ちょっと複雑?」「姓が2つあるって本当?」
そんな疑問をお持ちではありませんか?ペルー人の名前は、その国の豊かな歴史と多様な文化が織りなす、まさに「生きた記録」です。
この記事では、ペルー人の名前の基本的な仕組みから、よくある姓、最新の人気の名前、そして日本や中国、イタリアにルーツを持つ名前まで、どこよりも分かりやすく、そして詳しく解説します!
これを読めば、あなたもペルーの名前博士になれること間違いなしです。友人との会話や、ペルーの人と交流する際にきっと役立ちますよ。
目次
1.【基本のキ】ペルー人の名前は「名+父方の姓+母方の姓」
まず、一番大事なポイントから。ペルー人のフルネームは、3つのパーツで構成されています。
- 名 (Nombre):個人の名前。複数持つこともあります。
- 父方の姓 (Apellido Paterno):お父さんから受け継ぐ第一の姓。
- 母方の姓 (Apellido Materno):お母さんから受け継ぐ第二の姓。
例えば、フアン・ガルシア・ロペス (Juan Garcia Lopez) さんという名前なら、このようになります。
- 名: フアン (Juan)
- 父方の姓: ガルシア (Garcia)
- 母方の姓: ロペス (Lopez)
これはスペインから受け継いだ文化で、法律で定められています。出生証明書からパスポートまで、すべての公式書類でこの形式が使われます。
日常生活では「父方の姓」だけ呼ぶのが一般的
ただし、面白いことに、日常生活やビジネスシーンで人を呼ぶときは、父方の姓だけを使うのが普通です。
先ほどのフアン・ガルシア・ロペスさんなら、「ロペスさん」ではなく「ガルシアさん (Señor Garcia)」と呼ばれます。フルネームは、あくまでフォーマルな場面や公的な書類で使われることが多いです。
2.ペルー人は結婚したら名前はどうなるの?
日本では夫婦が同じ姓を名乗るのが一般的ですが、ペルーでは事情が異なります。
原則、夫婦別姓!女性は結婚しても姓を変えない
ペルーの法律では、女性は結婚しても自分の姓を変えません。生涯を通じて、生まれた時の名前(父方の姓+母方の姓)を使い続けるのが基本です。これは、個人のアイデンティティを尊重する文化の表れと言えるでしょう。
「de」を使って夫の姓を追加するオプションも
ただし、既婚女性であることを社会的に示したい場合、任意で自分の姓に夫の姓を付け加えることができます。その際に使うのが「de」(〜の、という意味)という言葉です。
例えば、マリア・ペレス・ゴンサレス (Maria Pérez Gonzales) さんが、ミュラー (Müller) さんと結婚した場合、
マリア・ペレス・ゴンサレス・デ・ミュラー (Maria Pérez Gonzales de Müller)
と名乗ることができます。これはあくまで追加であり、元の姓が消えるわけではありません。
3.ペルーで人気の姓ランキングTOP15!あなたの知ってる名前は?
ペルーにはどんな姓が多いのでしょうか?興味深いことに、トップ3のうち2つはスペイン語由来ではなく、先住民の言葉にルーツを持っています。
順位 | 姓 | 起源 | 意味・語源 |
1 | Quispe (キスペ) | ケチュア語 | 「自由」「透明」「輝く」 |
2 | Flores (フローレス) | スペイン語 | 「花」 |
3 | Sánchez (サンチェス) | スペイン語 | 「Sanchoの息子」 |
4 | García (ガルシア) | スペイン語 | (バスク語起源の可能性) |
5 | Rodríguez (ロドリゲス) | スペイン語 | 「Rodrigoの息子」 |
6 | Huamán (ワマン) | ケチュア語 | 「ハヤブサ」 |
7 | Rojas (ロハス) | スペイン語 | 「赤い」 |
8 | Vargas (バルガス) | スペイン語 | 「急斜面」 |
9 | Espinoza (エスピノサ) | スペイン語 | 「サンザシの場所」 |
10 | Castillo (カスティーヨ) | スペイン語 | 「城」 |
11 | Mamani (ママーニ) | アイマラ語 | 「ハヤブサ」 |
12 | Chávez (チャベス) | スペイン語 | 「鍵」 |
13 | Ramos (ラモス) | スペイン語 | 「枝」 |
14 | Díaz (ディアス) | スペイン語 | 「Diegoの息子」 |
15 | Córdova (コルドバ) | スペイン語 | 「コルドバ出身」 |
1位のキスペは、インカ帝国の公用語だったケチュア語に由来します。スペインによる植民地化の歴史がありながらも、先住民の文化が色濃く残っていることの力強い証拠です。
4.名前でたどるペルーの歴史:多様な文化の交差点
ペルー人の名前は、まさに文化のモザイク。そのルーツを探ると、この国の歩んできた歴史が見えてきます。
🇪🇸 スペインの刻印
現在の姓名制度の基礎は、16世紀のスペインによる征服と共にもたらされました。スペインは、キリスト教の洗礼名と世襲の姓を導入し、先住民を統治するための手段としました。そのため、GarciaやRodríguezなど、スペイン由来の姓が今でも数多く使われています。
🦙 先住民の魂:キスペ、ワマン、そしてアマル
スペイン化の波にのまれず、力強く生き残ったのが先住民の言葉に由来する名前です。
- Quispe (キスペ): ケチュア語で「自由」「輝く」。最も一般的な姓。
- Huamán (ワマン): ケチュア語で「ハヤブサ」。
- Mamani (ママーニ): アイマラ語で「ハヤブサ」。
- Condori (コンドリ): 「コンドル」。
- Amaru (アマル): 「蛇」。インカの伝説的な指導者トゥパク・アマルの名でも知られます。
- Yupanqui (ユパンキ): 「導き手」。インカ皇帝の名前にも見られます。
最近では、Killa (月)、Inti (太陽)、Wayra (風) のような美しい響きの先住民の言葉を、子供の「名」として選ぶ「先住民ネーム・ルネサンス」とも呼べる動きが活発になっています。
🌏 移民たちがもたらした彩り
ペルーは移民大国でもあります。特に日本、中国、イタリアからの移民は、ペルーの姓名文化に新たな彩りを加えました。
- 日系 (ニッケイ) 🇯🇵: ペルーには大規模な日系コミュニティがあり、Higa (比嘉), Nakasone (仲宗根), Yamamoto (山本), Tanaka (田中) といった日本の姓がごく普通に見られます。アルベルト・フジモリ (Fujimori) 元大統領もその一人です。日系人の間では、公式なスペイン語名と、家庭で使う日本語名を両方持つことも珍しくありません。
- 中国系 (トゥサン) 🇨🇳: 19世紀以降、多くの中国系移民がペルーに渡りました。Wong (ウォン), Fhong (フォン), Tang (タン) といった姓が広く知られています。初期の移民の中には、ペルーでの生活のために現地の有力者の姓を名乗る人もいました。
- イタリア系 🇮🇹: Rossi (ロッシ), Ricci (リッチ), Ferrari (フェラーリ) など、イタリア系の姓もペルー社会に深く根付いています。特に食文化など、様々な面で大きな影響を与えました。
5.【2025年最新】人気の赤ちゃん名前ランキング!
現代のペルーでは、どんな名前が人気なのでしょうか?最新のトレンドを見てみましょう。
順位 | 男の子の名前 | 女の子の名前 |
1 | Liam (リアム) | Mia (ミア) |
2 | Thiago (ティアゴ) | Alessia (アレッシア) |
3 | Dylan (ディラン) | Camila (カミラ) |
4 | Gael (ガエル) | Danna (ダンナ) |
5 | Mateo (マテオ) | Zoe (ゾーイ) |
6 | Lucas (ルーカス) | Valentina (バレンティーナ) |
7 | Sebastián (セバスティアン) | Sofía (ソフィア) |
8 | Joaquín (ホアキン) | Luciana (ルシアナ) |
9 | Diego (ディエゴ) | Maria (マリア) |
10 | Gabriel (ガブリエル) | Aitana (アイタナ) |
Liam (アイルランド語), Dylan (ウェールズ語), Zoe (ギリシャ語) など、国際的で短い名前がトレンドです。これは世界的な潮流と共通していますね。
一方で、サッカー選手 (クリスティアーノ・ロナウド、キリアン・エムバペ) や、映画のキャラクター、歌手の名前を付ける親も増えており、グローバルなポップカルチャーが命名に大きな影響を与えていることが分かります。
まとめ:ペルー人の名前は、歴史と文化が詰まった宝箱
ペルー人の名前は、単なる識別のための記号ではありません。
- **「父方の姓+母方の姓」**というスペインから受け継いだ構造。
- キスペのように、今なお輝きを放つ先住民の遺産。
- フジモリやウォンといった、移民たちが刻んだ新しい歴史。
- リアムやミアなど、グローバル化時代を映し出す現代のトレンド。
これらすべてが混ざり合い、一人ひとりの名前に深い物語を与えています。ペルー人の名前を知ることは、この国の多様で魅力的な文化を理解するための、最高の第一歩なのです。